梅田阿比「フルセット!」1巻の感想〜思いが溢れ出す所を見たことある?〜


梅田阿比フルセット!」の感想

週刊少年チャンピオンで連載中の梅田阿比先生の「幻仔譚じゃのめ」を
応援して打ち切りにはさせないぞっ!ってことで、
幻仔譚じゃのめの前に週刊少年チャンピオンで連載されていた
フルセット!を引張だして感想を書いてみました。


週刊少年チャンピオン 第60〜69回新人まんが賞データ
第64回(2005年上期)の新人漫画賞で米原先生に、
「ストーリーももう少し熱のあるものに挑戦してほしい。」
との言葉を其のまま見事に体現化した作品であるフルセット!



漫画のジャンルとしては、バレーボール漫画と言う括りになりますが、
実際に読んでみると、バレーボールが主眼では無く、
入谷火野君が弱かった過去の自分に対して
異常とも思えるほどの執念で立ち向かい打破していく物語です。
そしてバレーボールと言う
一人のスーパーマンだけでは試合に勝てないと言う
特性を活かして少年誌らしい、チームワークや友情を演出しています。
運動音痴だが精神力が強烈な入谷火野君と、
天才的身体能力を持っているが偏屈な、会田雅矢君のダブル主人公でいながらも
全国などを目指さないで物語を進める、スポ根物語の新たな方向性なのかもしれません。


フルセット!」のポイント

この作品で特筆すべきものとして主人公の心の動きにあると思います。
初めからダイナミックに、主人公の心の動きをストレートに表現していて
見ている読者の方が恥ずかしくなる位に漫画全面に溢れでてる
火野君の感情の波に圧倒されてしまい、
グイグイとこの「フルセット!」と言う作品にのめり込んでしまう
要因なのでは?と思っています。
1巻だけでも買って読んでもらえれば、
ここで書いている、火野君の心の動きを体感出来ますので買ってみてね♪




それと運動部に入って過去の弱い自分と決別したいと言っている
主人公に対して、運動が出来ない人の吹き溜まり、通称:園芸部こと男子バレーボール部への入部を
笑顔で勧める塩井先生可愛い。
火野君みたいにあの胸に抱きしめられたいお(^q^)

塩井先生・・笑顔で運動音痴の吹き溜まりに主人公を放り込むとか
さすが塩井先生!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!



フルセット!」のストーリー

普通にストーリーを書いても良いのですが下記のリンク
小説家になるための創作技術 -31の機能 〜創作技術-
に、物語の構成・設定について書かれていて
ビックリする程「フルセット!」にフィットするので何ぞりながら書いてみたいと思います。


31の機能のを使って「フルセット!」のストーリーの順序と同じ順番でなぞっていますので
ストーリーが掴みにくいかもしれません。


・成員の留守(β)
主人公を保護すべき両親の元から離れて
主人公の入谷火野君が祖父母の元から、新しい中学校へ転校した所から物語が始まる。

・保護者によって禁が課される(γ)
保護者的役割の祖父から先生に、火野君の体が弱いので運動部はやめて下さいと懇願される。

・禁が破られる(δ)

転校先の中学は運動部への入部が必須と告げられ、
祖父や先生は運動部でもマネージャーになればOKとするものの
火野君自信が他の人と同じように運動部に入部すると宣言。
塩井先生の勧めで、火野君はバレーボール部への入部を希望する。

・敵対者による探り出し(ε)
ダブルキャストの二人目の主人公・会田雅矢が登場。
会田君はバレーボールの超エースだが部員が揃わず大会に出られない為
他の部活動の助っ人活動をして周囲から賞賛を浴びているが
一度、部活に所属してしまうと転向が認められていないため
バレーボール部が無くなれば良いと思っている。

・敵対者に情報が漏れる(ζ)

主人公二人が、道端で接触しバレーボール部の練習場を探していること
火野君がバレーボール部への入部を希望している事が会田君に伝わる。

・敵対者による謀略(η)
火野君がバレーボール部に入部するのを拒むために
会田君は、入部テストとして超スーパースパイクをレシーブできたら
バレーボール部への入部を認めると勝負を要求。

・謀略により欺かれる(θ)
会田君との勝負に火野君が気絶してしまう。

・敵対者による加害(A)・欠如が発見される(a)
気絶した火野君をみて周りの男子バレーボール部員がイジメだと言いながら逃げ出す。
火野君は意識を取り戻すも、天才会田君との実力の差を思い知らされる。

・主人公の派遣/出立が依頼される(B)
火野君、前の中学校でのイジメられていた経験から結局なにも
変わっていないことを思い知らされる。

・主人公が出立を決意(C)

火野君がバレーボールを通じて強くなり変わるんだ!と決意し
バレーボール部へ入部届けを提出する。

・出立(↑)
一日中、レシーブの特訓をして
会田君のスパイクをなんとかレシーブすることに成功する。
(ココまでが第一話)


・呪具の授与者に試される主人公(贈与者の第一機能)(D)
会田君以外のチームメイトは、運動音痴・ボール恐怖症・人見知り・オカマちゃんで
会田君は、普段はバレーボール部には来ないで他の部で遊んでいることが解る。

・Dに対して主人公が反応する(E)
バスケットボール部で遊んでいる会田君を発見して
バレーボール部へ来るように説得。
※この繰り返しは、合計3回行われる場合が多い。

・呪具の贈与・獲得(F)

衝突のあと少しだけ、火野君と会田君の心が通じそううになる。

※2回目
火野君のお母さんからの電話でまた運動部に入れないように先生に忠告があるが
火野君が塩井先生を説得する。
※3回目
男子バレーボール部担当がバレーボール部を潰そうとして市の総体で
ベスト3位に入らなければ廃部だと宣告。
火野君がその他の部員を説得して練習を始める。


・主人公の移動(G)

練習の愚痴を言い始める部員に火野君が
自分たちの居場所は自分達で守る物だと宣言!


・主人公と敵対者の闘争(H)
小学生時代の会田君は奇跡の天才と呼ばれていて
会田君が試合にでれば100%勝てると言う事を発見。
火野君、会田君に対して市の総体に出場してもらうように
懇願するが誰が自分(会田)に対して
トスを上げるのか!と問い詰められる。


・主人公に標がつけられる(J)

トスの勉強をするために、女子バレーボール部の日野灯にコーチを頼む。
火野君が前の学校で付けられた、
右手と右足の傷をセッターの証と灯ちゃんが宣言する。


ここで「フルセット!」1巻が終了です。
元ネタは、ウラジーミル・プロップって人が分析した"昔話の構造31の機能分類"なんだってさ。


意図的なのかは分かりませんが、
フルセット!」のストーリーが其のまま当てはめることが出きますねw
何時もとチョット違った漫画の感想でしたがどうでしたか?


流石、梅田阿比先生!
こんな、梅田阿比先生の漫画が読めるのは秋田書店週刊少年チャンピオンだけ!!
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幻仔譚じゃのめ (1) (少年チャンピオン・コミックス)

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